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CT検査とMRI検査の違いについて

TOPICS2023.12.21


疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか? 検査を担当していると、よく耳にする質問のひとつです。CTとMRIは大きな筒状の機械の中に入って身体の断面を画像にする検査。という点では似ているので混同しやすいと思います。

ですが、、、、 CT検査とMRI検査は全く違う検査 です。

このページではCTとMRIを比較し、具体的な違いをまとめています。検査を受ける際など参考にしてください。


その1 撮像原理が違う!

CTとMRIの大きな違いとして、放射線を使っているかが挙げられます。CTは、放射線を使って身体の断面の画像を得ています。対して、MRIは磁石の力を使って撮像しており、放射線を使っていないので被ばくをすることはありません。根本の原理が違うので、「CTとMRIは全く違う検査」です。

CTは、放射線を出す管球が身体の周りを360°回転しながら撮影します。

MRIは、磁石の作用で違う動きをする身体の中の水素原子を画像化します。


その2 どのように使い分けるの?

放射線を使うCTと磁石の力を使うMRIは、画像化する成分が異なっていて、それぞれに得意分野があります。CTは脳出血や肺炎など、MRIは早期脳梗塞や靱帯などがそれぞれの得意分野の代表例です。得意分野以外は検査できないということではなく、どの検査をするかは目的に応じて医師が決定します。場合によっては、CTとMRIを併用することもあります。目的となる部位(筋肉・骨など)や、疑われる病気によって使い分けています。



その3 撮影時間の違いについて

撮像の原理が違うので、撮影にかかる時間にも差があります。単純CTは約5分、単純MRIは15~30分ほど撮影に時間を要します。(※単純検査1部位の場合)


その4 金属を外すわけ

CTもMRIも、検査の前には身につけている金属を外していただくことを、お願いいたします。安全面と画像への影響を考慮して金属を外す点では同じなのですが、金属による画像の影響の出方が違います。各検査について説明いたします。CT装置から放射線が出るのは、撮影するときだけです。放射線が当たるのは、撮影する範囲だけで、撮影後に放射線が室内に残ることはありません。MRIのように常に磁場が発生していることもないので、装置に近づくこと自体に問題はありません。撮影する範囲に金属があると、診断の妨げになってしまう(図1参照)ため、撮影前に、撮影範囲にある金属を外していただきます。

CTの金属アーチファクト画像(図1)


ヘアピンや補聴器から「金属アーチファクト」という、通常はない黒い線が入っているように写ります。これによって、病変が見えづらくなってしまい、必要な情報が得られないことが考えられます。

MRI装置は、簡単にいうと超強力な磁石で、MRI検査室内は常に磁場が発生している状態です。誤って金属類を持ち込んでしまうと、磁石(装置のトンネル部分)にものすごい勢いで吸い寄せられてしまします。くっついてしまうと、簡単には引き剥がすことができず、装置の故障にもつながってきます。装置の故障だけでなく、患者さんやスタッフの安全にも関わります。実際に世界中では「MRIの吸着事故に伴う死亡事故」が起きています。そのため、MRIでは、検査室入室前に身につけている金属をすべて外していただき、専用の検査着にお着替えをおねがいしております。また、脳動脈クリップなどの体内金属は、磁力によって場所が移動し、重大な事故につながる恐れがあります。体内金属には、MRI検査可能なものと、MRI禁忌のものがあるので、事前にしっかりと確認させていただきます。さらに、検査可能な体内金属(チタン製のインプラントなど)は、MRI検査が施行できても金属周囲が黒く抜けてしまいます(図2参照)。これにより、一部の情報が得られないことになります。

MRIの金属アーチファクト画像(図2)


矢印はインプラントや義歯による「金属アーチファクト」です。CTと異なり、金属周辺が完全に黒く抜けてしまい、その部分の画像は全く得ることができません。


最後に・・・

このページで紹介したように、CTとMRIは違う検査ですが、疾病を発見するために身体の中を観察できる大切な検査という点では同じです。CTを撮るかMRIを撮るかは、患者さま自身で判断することはできません。どの検査をするかは、緊急性、状態、疑われる疾患など加味して医師が判断します。これは、他の検査・処置でも同様です。また、診断に有用な画像を安全に得るためには、患者さまの協力が不可欠です。検査の際はスタッフの指示にしたがっていただきますよう、お願いいたします。

嶋田病院では、検査室での案内から撮影、撮影後の画像処理まで、診療放射線技師が行っています。放射線部では、患者さまの不安を少しでも解消して検査を受けて頂きたいと思っています。不安なことや疑問がありましたら、お気軽にお声がけ下さい。

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